2009年5月31日日曜日

アンジェラ・アキ (5月31日 鳥取)

玉城が愛の求道者なら、アンジーは愛の伝道師だ。アルバム「アンサー」のクレジットは、生きること、愛することへの答えを探しているあなたへ捧ぐとある。
オープニングから総立ち。母娘連れが目立つ、年齢層は幅広い。三階席にいるあなた、物理的な距離はあっても目を閉じれば心の距離は近いよ。あなたの目の前にアンジーはいるよ。関西のりのトークで三階席までぎっしりの会場を沸かす。
突然、Hey,Judeを歌い始め、英語で歌わナイトに切り替わる。ジョン・レノンが離婚したとき、ポールが、レノンの息子のジュリアンに贈った激励ソング。Remember to let her into your heart.Then you can start to make it better. 彼女を許すことができたとき、何もかもうまく行くようになるよ。全員で歌うビートルズ。Hey,Jude(julian)にならい、呼びかけ(ねえ)と名前が入った歌を続ける。与作、いとしのエリー、アヴリルのGirlFriend、ドリカムのlovelovelove、ねえ、ムーミンまで歌謡ショー。
 エレベーター内でも発声練習をする逸話を残すほど、正しく鍛えられたアンジーの身体(共鳴腔)は、深く、遠く、そして、強く、長く響きわたる声を生み出す。真っ直ぐなピアノと声をまっすぐに受け止める。もう、すっかり、会場の誰もがアンジーワールドの住人になっている。アンジーが辛く苦しい過去(壊れた愛)を語ると、あちらこちらですすり泣きさえ聴こえる。「でも、ひとは立ち直ることができる。いまのあなたのその苦しみでさえ意味があったことをわかる日が必ずくる」のだと。アンジーワールドの住人になると、普段、受け入れないありふれた言葉でも、胸を突かれ、その言葉に救われる。愛の伝道師アンジー。末期癌の祖父が叔父と和解したとき、ごめん、ありがとうと言って泣いた。こんな簡単な言葉をなぜいままで伝えられなかったのかと。「ごめんね と ありがとう を足してそれを2で割ると、答えは愛なんだといま気づいた」(ANSWER)
 ラストは配られた歌詞カードを持って全員が「手紙 ~ 拝啓 十五の君へ ~」を叫ぶ。アンコールに、リンドバーグの いますぐKISS ME も大合唱。「THIS LOVE」 ですべてを絞り出すように歌いあげて二時間半のコンサートが閉幕。意味のない苦しみなんて人生にない。必ずその苦しみの日々の意味がわかる日が来る。

2009年5月30日土曜日

玉城ちはる 辻香織 めがねnight(5月29日 広島)

  懐メロフォークを歌ってフォーク世代に共感を呼ぼう企画に乗った玉城は、抑揚のない拓郎のメロディーをおとなしめに歌う地味で特色ない歌手だった。
 悩み続けた玉城が、自分を表現することを決意し、自分の叫び方を知ったとき歌が変わった。深い情念の海を持つ玉城の叫びは聴く者を圧倒する。
 「この深い森の海は居心地がいい。でも深い森の海は居場所じゃない。もう行かなきゃ、気づいたのだから・・・」 (シンカイノハモンより)
 玉城のライヴは、その力量を至近距離で直に受け取る楽しさが堪らない。声は太くしなり、硬質に響く。その手ごたえが胸に落ちていく。玉城のなかの深い水底から迸る情念の嵐に観客はのみ込まれていく。大きく手を動かすユニバーサルアクションの玉城パフォーマンス。届かないものをつかまえようとするように手を広げ伸ばし、彷徨い求め続ける。
 なにが欲しいのか、なにが足りないのか、求めても、求めても、手に入らない。失ったものは戻らない 代わりになるものなどない。それでも、もがき、愛をテーマに歌い続ける愛の求道者、玉城。希求と切望の先に豊穣な愛に満ち溢れる世界はあるのか、信じてもいいと思える温かさが彼女の声にはある。
玉城ちはる、辻 香織の めがねnight in 広島
女友達が少ない玉城のとってプライベートでも親交のある辻とのめがねnight。出演者も観客もみんなメガネ。すっかりオヤジ化した玉城。辻が玉城を初めて見たとき女優のようだったと褒めると、そんなん言われても胸揉むくらいしかできんよ・・キスするとき眼鏡いつ外してる?してもええよと相手にせかしてるようで恥ずくない?・・とかビール片手に、ガハハと笑う。最近は、さらさのマチコ先生をエロトークに巻き込んで飲むのが楽しいらしいf^^;

2009年5月3日日曜日

妹尾美穂 倉敷AVENUE 5月2日(土)

古い民家が並ぶ倉敷美観地区の裏手路地にジャズ喫茶AVENUEがある。予約して正解でした(^^)グランドピアノの蓋を開けた側、というかピアノのすぐ横で、演奏する妹尾美穂やメンバの表情が見えて、落ち着いて聴けるテーブル席という最高の席でした。

民家を改造したAVENUEは不思議な配置。ピアノが店の真ん中にあって、バンドの後姿を見る側がテーブル席が多い。ステージがない日は地元の常連がゆったりと珈琲を飲んでいるだろう。控え室は土間からあがる物置スペース?きっと冬には炬燵があってわいわいやってるに違いない。

一年前、初めて見たとき妹尾美穂はコギャルの高校生だった。まさかジャズトリオのリーダがアンパンマンショー的な明るいキャピ声の主であるわけがないと。(のちに年齢はそれなりであることを知る)AVENUEのドアを開けると、妹尾美穂の明るい笑顔が迎えてくれた。今日の衣装は、白と黒でピータパンがスカートとブーツを穿いた妖精不思議ワールド。・・似合う(^^;)常連や、ひさぶりに妹尾美穂に会いにきた友人たちが、早い時間から詰めかけてくる。店は大入り、客は20代後半から70くらいまでいろいろ。バンドを360度囲んで出番を待つ。

相変わらずの明るいトーンで挨拶とメンバー紹介。ポピュラーナンバーから軽やかにピアノが響く。妹尾美穂は空から音符の雨を降らしたり、水滴を水流に変えたり、色彩を自在に扱うなどいろんなマジックができる。そして妹尾美穂のピアノはどんなに叩きつけても音がモイスチャーリンスされてて肌ざわりがいい

中盤にさしかかって、左の口角が動き、妹尾の頬筋が緊張と興奮で盛り上がる。入っている、ハマっている。硬質にたたみ掛けたピアノのリフがテンションを積み上げて、ターん!、ハあー!と美穂波が発せられるようになると、妹尾美穂が愛してやまないAVENUEのピアノがそれに応える。ヤー、マー、波あ!と(^^)積み上げた音の城壁を一気に崩すカタストロフを迎え、緊張が溶ける。ピアノからベースへ、ドラムへとドラマが展開されていく。美穂トリオを囲む客が揺れて、それぞれがみんな楽しそうだ。思い思いに声を発し、拍手する。

今回特に印象に残ったのは4曲。一部の最後の曲の「JAMES」。晴れた心地の良い朝。木漏れ日の下を自転車で軽やかに疾走して、5月の陽射しと風を全身に受けとめる。仕事も恋も、人生で一番充実している時期の喜びを表現しているような楽しい曲。
二部では「忘却」。水のなかへ静かに沈む音の塊たち。短く刻んだ音が連なりがゆっくりと水底へ沈んでいく。 トリオの遊びが楽しい「CONFORMATION」。伊予平のベースパフォーマンスに驚き、はしゃぐ妹尾美穂の表情がおもしろい。片岡洸の素手打ちまで飛び出す。
そして大好きな曲「ソングオブサイレンス」。東山魁夷の絵画「静唱」からインスパイアされた楽曲。気合入れて譜面台をあげて一呼吸いれる。ピアノソロがしばらく続いたあと、ベースとパーカッションが寄り添い曲が動く。木立を抜ける風が、さざ波となり湖面を走ったとき、胸がザワつき、鳥肌が立った。水面に落とされた陽光のきらめきのひとつひとつをピアノが表現する。木と風と水面と陽光がアンサンブルを奏でる。風が止み、また湖畔に静寂が訪れる。聴衆は最後の共鳴の余韻に浸る。長い沈黙のあと、笑顔と割れんばかりの拍手が待っている。
バンドのグルーヴだけでなく、AVENUEという空間のグルーヴを感じます
妹尾美穂トリオ今後も必見です。そして絶対、妹尾美穂の表情が見える席をお奨めします。そのほうが妹尾美穂トリオを倍楽しめますよ(^^)
http://mihopower.blogspot.com/

倉敷 新緑の街 ストレッチする猫、だれる犬、集う亀

■倉四季の看板犬(ぶた犬)です。 真夏の陽射しで火照ってました(^^)  ■誓願寺のストレッチ猫です。 もう少し手?を伸ばせば完璧な態勢(^^;)
■美観地区 倉敷川と新緑。 アイビースクエアの池では亀が集団甲羅干し。)