2013年8月25日日曜日

チキンラーメンとわたし 誕生日のドラムサークル 妹尾美穂 @珈琲美学

The water is wide, I cannot cross o'er,
その水辺は広く 向こう岸へ渡れない
・・・
 
 バースデイライヴは「The water is wide」ではじまった。水面がきらめき、さざめくさまを、美穂ピアノが映し出す。
 love's a jewel when it is new
 but love grows old and waxes cold
 And fades away like morning dew.
 愛の始まりは宝石のようだが、やがてくすんで冷えきって、朝つゆのように色あせてゆく
「The water is wide」に惚れ込んだ妹尾美穂が創り上げたのがいまや定番の名曲ki-ra-ri。ki-ra-riの水の流れは、大河でなく小川の軽快な印象だが、まさしく「流麗」な音の響きが妹尾美穂のピアノだ。

チキンラーメンと誕生日が同じ妹尾美穂は笑顔がよく似合う。「Evening Glow」では鍵盤ハーモニカとピアノの一人二役を披露。息吹の響きが心地よい。

 そして、第二部はドラムサークル。お客さんみんなが打楽器を手にし、思い思いにリズムを刻む。妹尾美穂のファシリテートで、会場が一体となり、歓声が湧き上がる。

この冬、セカンドアルバムの制作の取り組む妹尾美穂。新曲「Zephyr」が象徴するように、また新しい風が吹いてくる。

2013年8月15日木曜日

実写版エヴァンゲリオン Kaijyu vs. Yeager 菊地凛子 @ パシフィック・リム

 全世界を襲う「Kaijyu」と戦う人型巨大兵器「Yeager」。いわば子供向け題材に200億円を投資したハリウッド。菊地凛子は、その超大作ハリウッド映画でヒロインとなった初の日本女優である。

 これまでの観た出演作では、バベルの女子高生役やノルウェーの森での18歳の直子役など、年齢的に無理な設定の印象が強い菊地凛子だが、今回はそれらを一蹴するハマり役だ。なにしろ、監督は菊地をイメージして脚本を作ったというのだからハマらないわけがない。
  
  チャーリー・ハナムとの武術での対決シーンは、凛々しく華麗なハリウッド・ヒロインのオーラに圧倒される。

  内容的には実写版エヴァンゲリオンと呼ばれるほどエヴァにシンクロしているf^^;パイロットとイェーガーとの神経接続やイェーガーの暴走シーンなど間違いなくパクリだ。
  ヒロインにアスカ・ラングレーぽい欧米美人を起用すればもっと興行収入は伸びたと推察できるが、日本の怪獣ものやアニメを見て育った米国監督が、日本へのオマージュを込めて日本人ヒロインと子役(芦田愛菜)を起用したのだと解釈しよう。

2013年8月14日水曜日

ニコール・キッドマン ザック・エフロン 増幅する闇 @ ペーパーボーイ 

 犯罪者に性的倒錯する危ない女とマザコン兄弟のそれぞれの性癖が人間の闇をさらに増幅する。1960年代の黒人差別が残る南部。ぎらつく陽射しと欲望と狂気。殺傷シーンでは観客から悲鳴もあがる。
地元の新聞社の見習いザック・エフロンのまえに突如現れた年上の女。ペーパーボーイにとって、ニコール・キッドマンは、恋人で、母で、性欲の強いバービー人形だった。凶暴な男との沼での生活を後悔しはじめたニコールはあなたが正しかったと手紙を出す。
 ミステリーでもサスペンスでもなく、もはや真相は意味をなさない。陰惨な闇が広がる、そんな映画だった。それぐらい、役者の力量がすごい。

 「イノセント・ガーデン」では、事故で夫を亡くし、葬儀当日に突然と現れた義弟と実の娘に翻弄される情緒不安定な母を演じていたニコール。そのときのインタビューで映画での暴力表現について、こんなふうに答えている。

 「搾取的な暴力は好きじゃないけれど、関連性がある場合に映画で暴力を使うことには反対していない」
 「知的なアイディアが元になっている限り、それに単なる搾取でなければ、そういう作品も検討するし、非理知的に、知的に要求されることもかまわない」
 「そういう要求は受ける気持ちがあるし、オープンに対応する。たとえば芸術を見せるような形だったら、自分の芸術で暴力を扱うこともかまわない。文学や映画という観点では、暴力があることを受け入れているから、時には、進んで自分自身をそういう要求される立場におくつもりもある。」

 ペーパーボーイ、なるほどR15指定です。

2013年8月4日日曜日

謎解きはParadise Kiss(パラキス)のあとで 矢沢あい*北川景子 毒舌執事と刑事令嬢

 映画化された矢沢あいの「Paradise Kiss」(通称:パラキス)は「NANA」と同時期の作品で彼女が漫画家として完成域に入ったときの作品だ。デザイナーセンスが光るキレの良い画力に魅了され惹きこまれると、深い人間洞察から生まれたキャラクターは活き活きと読者のなかで育つ。その若くて未熟な男女の出会いやすれ違いに翻弄させられ、すっかり矢沢あいの世界の漂流者となる。

 












   そのパラキスのヒロインに抜擢されたのが「北川景子」だった。映画「NANA」ではバンドメンバーのキャスティング(中島美嘉・宮崎あおい・松田龍平・成宮寛貴・平岡祐太・松山ケンイチ・玉山鉄二etc)で原作のファンからイメージが違うとブーイングがあったが、北川景子はヒロインとしてど真ん中だった。学園のフェスティバルのデザイナー発表会で仲間が創ったブルードレスを纏う素人モデルはこう云ってステージに向かう。

「大丈夫、任せて。この会場のすべてのひとを、わたしが楽園(パラダイス)に連れて行く」
このときの北川景子は、矢沢あいが描く早坂紫を凌駕した。


 












  2011年度の「本屋大賞」第一位で年間ベストセラーの「謎解きはディナーのあとで」は毒舌執事と刑事令嬢というエキセントリックな設定だが、見事に北川景子がはまる。そして「失礼ながら・・・、お嬢様の目は節穴でございますか?」で始まる櫻井の毒舌は展開がわかっていても笑ってしまう。家族ゲームで鬼気迫る家庭教師を演じきった櫻井の演技は安定感がある。
 それにしても、共演が華やかだ。基本コメディーだし、TVの続きくらいで観に行くとけっこう見応えあるのでお薦めです。

 <TVレギュラー>
  影山:櫻井翔 ・宝生 麗子:北川景子 ・風祭 京一郎:椎名桔平
 <劇場版ゲスト>
  中村雅俊・桜庭ななみ・要潤・黒谷友香・生瀬勝久・竹中直人・鹿賀丈史・宮沢りえ