acco(だいきあつこ)を知ったのは去年の夏の終わりの台風の日。machiko先生の営業メールに乗せられて酔っ払いとさらさのライヴへ。ゲストのaccoは小柄で萌え声。ところが歌うと会場の空気が一変する。きしみや雑味のない完成された歌唱。涼やかに透き通っているのに情感のある温かく優しい声質。一気に伸びやかに響き、テンションを高めていくダイナミックなヴォーカル。それでいて、ふっと滑らかに収束する音調の完璧さに胸のざわつきがとまらず、思わずYEAHと叫んだほど。
今回はacco主催で、さらさの二人とサザンのギターの大森さんがゲスト。accoはデザイナーとして色んなミュージシャンを支援してて、大森さんとはその繋がりみたい。(12月の横浜で開催される大森さんのバースデイライヴにはaccoがゲストヴォーカル)
accoはデザインも歌も料理もプロ。すべて、ひとに希望を与えてくれるアートだという信念を持つ。今回のライヴタイトルはアートとマクロビオティックの造語のようだ。
ライヴ構成は、(1)さらさ (2)acco と さらさ其の1 (3)大森さんとみんなでサザンライヴ (4)acco と さらさ其の2 (5)アンコール(もう一回大森さんとセッション)
リハーサル風景を少しだけ、のぞかせてもらった。セッション中に「真夏の果実」で大森さんがエンディングのハープはオリジナルの高いキーで鮮やかにしたいとリクエストしたり、「いとしのエリー」でmachiko先生が転調への移行コードはFを入れると滑らかですと提言したり、即興で鮮やかに音にするプロフェッショナルなやり取りを目の当りにして感嘆しきり。
【さらさ】
いまや広島だけでなく大阪でも名を馳せる「さらさ」。南港音楽祭でエントリしたオセロは一位通過するし、中四国のコンクールを制覇するにとどまらない。ともあれ、さらさは進化する。
美術館のレストランを貸し切った2009年のイヴコンサート。アルバム四季彩のイージーリスニング調が中心で、「真夏の果実」をはじめ今日accoとコラボする「いとしのエリー」「I'll be there」はその頃からの定番。今回のオープニングの「情熱大陸」が手拍子が唯一入る楽曲で、きれいでたおやかな音楽を演奏するグループのイメージだった。
ところが「JET」。ほんの1年でさらさは革新を遂げる。「JET」は森川がソロでやるアーモンドのスリリングでハイテンションな世界をさらさの音楽に昇華した傑作。これをハープで呼応するMachiko先生が凄い。高音弦の華やかな弾糸に切れ味グリッサンド。青空を白い航跡で一直線に切り裂くジェットに翻弄されると、ギターのハーモニクスと高音ハープのきらめきの余韻が待っていてくれる。
「JET」に続き、「オセロ」もテンション高く楽しい。雨は、ギターとハープの一音一音の粋を極めた編曲で聴き惚れる。オリジナルのどれもが質が高い。どこまで進化していくんだろう。
【acco と さらさ其の1】
accoが呼びかけてもみんなシャイで会場の反応が鈍い。盛り上げ役に連れてきた酔っ払いも飲みが足らず機能せず残念f^^;
まずはaccoのソウル大臣時代の楽曲から「somebody sky」。machiko先生のpianoイントロで、あー、ちょっと待ってぇビデオのセットしてない、と中断。machiko先生は悪くないよぉをリフレインするけど、もちろんaccoのヘマであることを会場みんなが知っている。machiko先生はその間すかさずキーボードでフォロー。おかげで硬かった会場の空気もほぐれた。accoは英語があう。ドタバタがあったのに最初の発声も滑らかで、情感をこめたシャウトに手拍子が起こる。
去年の楽座でも歌った「HERO」:That a hero lies in you(ヒーローは自分自身の中にいる)でも存分に歌唱水準の高さを示してくれる。ビブラートを繊細に制御する。
倍音の定義はよくわかっていない。ただ、それが楽器であれ声であれ、それを聴くと左胸の奥で、金の糸が爆ぜて溶けるような感覚が湧き上がることがある。(Mebiusの岡田真美のファルセットのCや佐々木彩のファルセットのAだったり)倍音を多く含む声に触れるとドーパミンが踊る。accoの歌が心地よいのは、そこにある。
「TO U」はスマトラ沖地震を受けて、櫻井と小林がBANK BANDで書き下ろした楽曲。Salyuの声は衝撃的だった。accoが紹介したのは櫻井の詩の一節。
・・・
また争いが 自然の猛威が 安らげる場所を奪って
眠れずにいるあなたに 言葉などただ虚しく
沈んだ希望が 崩れた夢が いつの日か過去に変わったら
今を好きに もっと好きになれるから
あわてなくてもいいよ
・・・
3.11より、ずっと前にこの曲が創られていた奇跡。自分を支えてくれたメッセージとしてaccoが歌い上げる。やっぱり、いい(^^)
このセッションの最後は、広島出身の友人TEEの「ベイビー・アイラブユー」を独自のアレンジを施して楽しませてくれた。
【大森さんとみんなでサザンライヴ】
テンガロンハットでワイルドにサザンの大森さん登壇。乾杯と大森さんのテンションで会場が沸き立つ。
まずは、「真夏の果実」。大森さんのメローなギター(accoが聴き惚れて歌詞を間違えるくらい)にのってaccoが歌う。machikoハープと森川ギターがバックを支え、大森ギターとaccoの歌唱で夢幻テイストな楽曲に変貌。よい共鳴です。
「いとしのエリー」。リハーサル途中で聴いたときはスタンダードアレンジだったのに、どこかで大森さんにスイッチが入ったらしく、ロックンロールエリーになっていた。大森さんのエレキバッキングで、accoの歌唱も変わる。ソウル大臣のフィーリングがエリーと合体したかんじでおもしろい。
【acco と さらさ其の2】
大森さんのハッピーバースデイを祝してみんなで合唱。会場のあちこちにヘンテコで愛嬌のある人形が点在している。心の実を持つDouDou森のプティ。作品は作者に似て愛らしい。オリジナル「PEACE OF YOURSELF」のテーマは滋養なのかな。プティの柔らかな表情のように自分に寄りそってくれる歌だ。
ビヨンセの「LISTEN」。ソウルシンガーaccoの本領発揮でパワフルです。
【アンコール(もう一回大森さんとセッション)】
ここにきてようやくコール&レスポンスが完成する。acco「楽しんでますかぁ」会場「とっても楽しいよぉ」と笑いが起きる。
さらさの定番でもある「I'll be tehre」だが、machiko先生はキーボードで重厚な音づくりを支える。大森さんは、メローなリズムギターから、自在なリードギターでエンディングを盛り上げ観客を驚かせてくれた。accoも、その波にのってとっても楽しんで歌っている。
ようやく、酔っ払いが大きな歓声をあげているがもう遅い。もっと飲ませておけばよかったf^^;
KAPONEでのライヴ終了。酔っ払いと次に行ったギターバーでは、連れてきたプティもほっとした表情をしていました。
http://e-jellicle.blogspot.jp/2011/09/acco-0902.html
2012年11月24日土曜日
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