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2011年6月19日日曜日

MISIA SOUL QUEST @ 鳥取梨花ホール 0618

  ステージを覆う白いスクリーンシートにはSOUL QUEST THE TOUR OF MISIA JAPANの文字。会場の照明が落ちるとスクリーンが紫に染まる。しばらく映画のオープニングみたく重厚なクラシックのストリングスが鳴り響き、カラフルにデジタルアートが映し出されていく。きしむような弦の音が止み、歓声とともにスクリーンがあがっていく。バンドメンバー5人、ダンサー6人を従え、ステージ中央にMISIA登場。照明を反射する銀のスパンコールに身を包んだ近未来ファッションでパワフル、ソウルフル、ダンサブルに新曲を歌いあげる。2009年12月に味わった圧倒的な質量感を持つ音の波の再現だ。
  MC第一声は「とっとりーぃ」。発声はシャープでブレない。AAaaa-!というシャウトが縦に綺麗に天井を突き抜けていくのが見える。2回目の生MISIAでようやくわかった。MISIAの声は金属元素で構成されている。しかもステンレスメタルで、錆も疲弊もブレも歪みもない。ファルセットでさえ、メタリックコーティングだ。

  MISIAのアルバムは何度か手にしたことがあるがCDのMISIAの声は平板に聴こえたことがある。楽譜通りに歌ってもMISIA本来の良さがでず、ライヴのテンションを出しきれない。ところが生のMISIAは凄い。5オクターブのステンレスメタルが趣くままに炸裂し、聴衆を圧倒していく。
  おそらく、声帯はもちろん、喉も、気管も、肺も、横隔膜も全て金属でできている。そうでなければ、高音域をフルボリュームで、ステンレスのままシャウトしきれるわけがない。共鳴に一切の歪みがなく、精度の高いメタルビームの質量感がズンズンと胸を打つ。ファルセットはメタリックゴールドに煌めき、心に絡みつく。
  一年半前は歌わなかった「つつみ込むように…」。ダンスリミックスで、グルーヴィに聴きなれたメロディを歌いあげる。19歳でこの歌を世に送り出す歌唱の完成度と衝撃。後半で、「つつみぃ込む△」とブレスブレイクすると、「ようにぃぃ…!」の高音域ロングトーンは20秒は超えた。沸き上がる会場。ファルセットは奇跡のレアメタルだ。圧倒的な質量のメタルウェーブに全身を委ねるしかない。

 被災地の復興を願う「明日へ」は、終わらない夜はないと希望の明日を歌う。明日へ、明日へ明日へ共に向かって行こうと叫ぶ。このバラードの強いメッセージは聴衆の心を打つ。拍手が鳴りやまない。

  アンコールが華やかだ。MISIAとダンサー(バニラグロテスク)の7名がボヘミアンファッションで、オレンジや黄色のパステルカラーの生地を幾層にも合わせ、ふんわりとしたスカートを激しい踊りでなびかせる。MISIAのダンスもすごい。それでいて、歌唱の質が落ちない。会場も踊り、歌い、シャウトする。「鳥取のみんな I Love You♪」会場が呼応すると、「一階のみんな I Love You♪」 「二階のみんな I Love You♪」 「三階のみんな I Love You♪」と徐々にオクターブがあがり、最高音域の I Love You♪ で会場から驚嘆と賞賛の歓声があがる。ステンレスメタル、レアメタルファルセットの奇跡のフルコースを体感。  

  最後は、ダンサー、バンドメンバーと並んで、MISIAから会場にリクエスト。みんなでMISIAと叫んでください。ミーシャーぁぁ、MISIA、みーしゃあと途切れない歓声を受けながら、メンバーがステージの左右の袖に消えていく。ステージの中央で、礼をして、手を振って応援に応えるMISIA。白いスクリーンシートが降りてくる。SOUL QUEST THE TOUR OF MISIA JAPANの文字にMISIAが隠れてライヴが終わった。
 7/27には10枚目のアルバム「SOUL QUEST」が発売される。必聴です。

2009年11月29日日曜日

MISIA  星空のライヴⅤ 鳥取 1129 

 「つつみ込むように・・・」でデビューしたのがもう12年も前。当時はまだ19歳だった。その唐突な才能の出現の衝撃度は、最近の歌手では「愛をこめて花束を」で鮮烈な登場をした越智志帆(Superfry)に近い。どちらも小柄で新人ながら圧倒的な声量と高い完成度を持ち合わせていた。
 MISIAのアルバムは何枚か手にしたことはあるが、特別にフェイバリットなものではなかった。ヴォーカリストとしてはすごいが、声質として切れとか冴えが響きにくいところがあり、ファンにはなりきれなかった。大阪城ホールや横浜アリーナの二夜連続をこなす星空のライヴ全国45ヵ所ツアー。当初、鳥取は入っておらず、最後の調整で追加されたようだ。 MISIAは二日前から鳥取入りし海と山の幸を堪能したという。
 席は前から13番目の「す」列。ステージに近い。3曲目からは総立ち。二十代が中心のコンサートは久しぶりだ。アンジェラ・アキと同年代だが、訴求する層が違う。アンジェラはアーティストで、アスリートだ。日々のトレーニングによって精緻に鍛えられた体躯で、見事に共鳴腔を制御して、遠くまでとおる声で自身の思いを届けてくれる。MISIAはアスリートよりも「格闘家」といったほうが近いのかもしれない。越智志帆がまっとうなボイトレを受けつけず、もって生まれた声帯で衝撃を届けるように、MISIAもまた天性の喉で聴く者を圧倒する。あんな声の出し方したら声帯痛むし、あとが続かないと思うようなフルボリュームで声を荒げ、そのテンションのまま延々と歌い続ける。青を基調としたボへミアンドレスにターバンストール、その下は長めの蛍光のエクステを絡ませる。激しく動き、シャウトしつづけるMISIA。高い音域を崩さず質量感のある声を出し続け、生身の情感のかたまりをそのまんま客にぶつけてくる。もうゾクゾクするざわつきをおさえられない。その波にのまれたら、身をまかせるしかない。
 ソプラノサックスとMISIAの掛け合いが目立ち、ギターもキーボードもドラムもおとなしい。常に歌い続け、間奏でもシャウトするMISIAに楽器のソロは入れない。ベースがしっかりと低音域を響かせ、バンド全体のバランスをとっている。惜しげがないフルボリュームはそれだけで凄味があるが、どの曲でもフルパワーの展開がワンパターンで、CDだけ聴くとその重さが平板な印象を受けるときもある。
 生のMISIAはすごい。ライヴでは、圧倒的な質量のかたまりの波に飲み込まれ、胸がざわつく。「everything」ではCDをはるかに超える迫力ある展開とエンディングでの裏声で繊細な仕上がりを聴かせてくれた。
 もう「包み込むように・・・」の自分ではないという意識があるのか、デビュー曲を歌ってくれなかったMISIA。いまだからこそ、いまのMISIAが歌う「包み込むように・・・」を聴かせてほしい。ともあれ、全身でフルボリュームで、フルテンションのまま鳥取を魅了してくれたMISIA。おつかれさまでした。今日の烏賊も蟹もうまいはずです(^^)