5年前、初めて見たとき妹尾美穂はコギャルの女子高生だった。ジャズライヴに場違いなコがいるなと思ってたら、ジャズトリオのリーダだった。(のちに年齢はそれなりであることを知る)
妹尾美穂のピアノは、人生の喜びに満ちている。柔らかな陽射しと穏やかな色彩、そして、露草の雫、せせらぎの水飛沫が溢れてくる。扱う色彩も木々の緑、青空から湖面のきらめき、夕暮れの紅まで幅が広い。肌に優しいモイスチャートーンが、冴えて、煌めき、心に響く。妹尾美穂のピアノが届ける音符は、一粒一粒が春の雨のように優しく心に触れる。α波を生む魔法のピアノだ。
屈託のない天使の笑顔から、Ki-Ra-Riが始まる。聴き慣れたメロディなのに、今日はなにか違う。右手が奏でるフレーズが、とてもかろやかに左胸の奥の琴線を跳ねていく。音が色っぽい。色彩の意味でなく、音自体にしびれる感覚。あとで尋ねると、最近出来るようになった奏法のようだ。女子高生は進化する。
今日は、若いけど成熟した歌唱を聴かせてくれる飯田さつきとのジョイント。印象的だった「Cry Me a River」は倉木麻衣もライヴで歌うジャズスタンダード。わたしを棄てておいて、今頃、泣く気?川が流れるほど、泣けばいいじゃない。「Blame it on my youth」の若気に至った哀切の歌唱表現も魅力的。
上質な音楽のシャワーは心をほぐしてくれる。プレイヤーもお客さんもみんな笑顔です。
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