2009年10月18日日曜日

安芸楽団 佐々木彩 廿日市さくらぴあ 1018

 廿日市市役所前。電車を降りると、街の匂いがしない。会場まで徒歩七分。あちらこちらの建物は新しいが点在していて密度が低く、駅から会場までのあいだスーパーがひとつだけで飲食店が見当たらない。まるで新しい市役所をたてるために切り開かれたような地域だ。

 12月には上原ひろみも来るという廿日市さくらぴあ。市役所と図書館とホールが併設されている。来週予定されていた尾崎亜美と加藤和彦のポスターには中止の張り紙があった。

http://www.hatsukaichi-csa.net/cms/event/2009/10/post-29.html 
 安芸楽団は広島在住の音楽家の集団で、篠笛、シンセサイザー、和太鼓が和風フュージョンサウンドを織り成すという。
 そのなかで、佐々木彩が琴と唄を表現する。以前、佐々木彩がピアノ弾き語りのライヴで、自分は声のプロ、声を職業にしているという話をした。だから、歌はもちろん、ナレーションや語りを含めてのプロだと。口腔・鼻腔を中心とした共鳴腔の制御(弁をつけたように)ができるといって、モザイクの人の声真似をしてみせてくれることがあった。彼女にはその共鳴の武器がある。
 例えば、ケ・セラ・セラのようなありきたりの曲の序盤で、シドレドシ、ラシドシラ(かな?)の女性が裏声で使わないような音域を裏声で表現するんだけど、その共鳴が胸を打つほど美しい。ボイストレーナでもある彼女の歌声は、声の粒子が均一に揃い、とてもまろやかだ。ただ、それだけでなく、鳥肌を立てさせるほどの「響きの冴え」を持つファルセットなのだ。
 砂山やからたちの花など、昔の日本の楽曲を切れのある琴と唄で和をパフォーマンスする佐々木彩。歌唱がなめらかで、すっと心に入りこんでくる。ファルセットの共鳴がまさしく琴線に触れる。琴のパフォーマンスものびやかだ。グリッサンドが鮮やかで、ピアノタッチの音使いが斬新でメロディーラインが活きる。
 ベースの梶山シュウは、亀仙人の風貌だが、44歳、44曲、4時間ライヴをやったばかりの辣腕ベーシスト。パット・メセニーのギターのような甘い幻惑の空間までベース一本で創りだせる魔術師だ。梶山と佐々木彩の仲良しトークは楽しい。
 安芸楽団でのびやかにパフォーマンスする佐々木彩。これからの佐々木彩がさらに楽しみだ。
http://www.akigakudan.com/

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