2009年10月12日月曜日

THE BOOM 20th Anniversary Live Tour 広島 1012

島唄のヒットから16年。THE BOOMがデビュー20周年を迎えた。10年くらい前に、3年続けてBOOMの野外を聴いた。 大阪城野外音楽堂が2回と兵庫の滝野。何れも季節は初夏で、ファンは20代半ばの女性が中心だった。
10年たつと、年代層も変わる。女性が中心なのは同じだが、10歳ほど上にあがったかんじだ。そして、小学生前の子供連れがあちらこちらにいる。開場前のアステールプラザの2F入口に整然と並んでいて、大人も子供もみんなとてもおとなしい。
 17時過ぎ、メンバ4人にスポットライトがあたると濁点をつけた黄色い歓声が響き渡った。ミヤ、カッコイイとほとんどの視線が宮沢に集中する。縦ノリの総立ち。3曲目には宮沢がいう衝撃のデビュー作、「君はTVっ子」で、会場の興奮はいきなりピーク。幼い子供たちは、最初はしゃいでいたが、だんだん周囲の大人の精神状態についていけなくなって、動きを止め唖然としている。
 急にしっとりイントロの「からたち野道」。これはきっとジャンル的には演歌だけど、艶歌だ。宮沢の声は色っぽい。いろんな実験を試みようとも、この声の魅力が多くのファンを惹きつける。
 新曲のスローバラードなど織りまぜるが、そろそろ子供たちが我慢できず、あちらこちらでぐずりだす。トークの最中でもおかまいなしだ。
 宮沢が「星のラブレター」で原宿ホコ天時代のエピソードをからませ会場をわかせる。喉も絶好調。「月さえも凍る夜」は名曲だ。青い月の光のトーンで、ひとつの世界を創り上げるかのようなスケール感がある。宮沢のなめらかで伸びのある歌唱が冴え、身体がしびれるようだった。
 宮沢の基本はロックだ。沖縄やブラジルやジャマイカと融合し触発されようと、ロックヴォーカリストとしての色気が宮沢の魅力の原点だ。華麗なるミヤザワツイスト、ミヤザワステップが、30代女子の胸騒ぎを煽ぐ。シャツを脱ぎ捨てて、黒いタンクトップとジーンズの出で立ちとなった細マッチョの宮沢に、濁点の黄色い歓声が再々わきあがる。
 「真夏の奇跡」はあの島唄の直後のシングルだった。そのときTVの歌謡番組の司会者が、島唄のあとにこの曲は意外ですねと訊いたとき、宮沢が「僕らはいろんな顔を持っている。これがBOOMなんです」と応じた自負を覚えている。そのスリリングな曲の展開と宮沢の歌唱にすっかり惚れこんでしまった。
 「神様の宝石でできた島」「ブランカ」で会場を大きく波打たせ、最後の曲は「島唄」。世界中で、多くのアーティストに歌われるエナジーを持つほど不思議な魅力をたたえる楽曲。去年、沖縄の海辺に、手榴弾で自決したひめゆりの生徒の60年前の校章が見つかった。思いをあらたに、この曲をずっと歌いあげていきたいと。歌いだしをアカペラにアレンジして、天に届けるかのように叫び出し、島唄がはじまった。会場の全員が歌う島唄。女性が多くて、とても爽やかな安定したコーラスだ。そして、アンコールの「風になりたい」も、もちろん全員で歌いあげる。 いつの間にか開始から3時間近く過ぎている。
 2度めのアンコールは、新曲のMy Sweet Home。ゆったりと歌い届け、1200人の観客を魅了しきって、ステージを去っていった。
 うるさかった子供たちのことはすっかり忘れていた。あの熱狂のなか、疲れて眠ってしまったようだf^^;あの世代がBOOMの魅力をわかってくれる日はいつになるだろうか。

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