2011年6月30日木曜日

Mebius 18~イッパチ~LIVE!!!! @駅地下エールエール 0630

  風もなく、空調も(効か)ない広島駅地下エールエールのステージ。椅子に座っているだけで汗が流れ出す。月に一度のイベントのようだが、集客はちょっとさびしいかんじ。

 姉妹の登場でステージが華やかになる。Mamiの赤いブラウスが夏っぽい。Norieは麦わらテイストのハットに白いブラウスで涼やかだ。

 オープニングはデビュー曲「夢のカケラ」。ふたりともソロがとれる。どちらがどのパートをやってもそれぞれが完璧にこなせてしまう・・・(はず)。
 
 Mamiはビブラートを効かせた深く低い声を持ち、倍音ファルセットまで披露する広い音域で、切れ味のある歌唱ができる、もとより完成されたヴォーカリストだ。
 
 Norieは遠くに響くよくとおる声を持つ、Mebiusのリードヴォーカルだ。だからこそ、個性をどう出すかで悩む時期がある。力めば、ローングトーンが裡にこもり、外に開放されず、ベタっと重くなる。地声を生かそうとすれば、荒さや雑味が浮かぶ。何度も自分の声に繰り返し向き合って歌唱を磨き、聴衆の心に真っ直ぐに届くクリアで力強い声を手に入れた。

 夢のカケラの間奏部分で、心をのせて思い通りにシャウトするNorie。新生Mebiusを象徴する歌唱だ。いまやMebiusの歌唱はメジャー級です(^^)/

 CD発売が大人の事情で言えな~い♪のが残念だが、ふたりの笑顔があれば大丈夫だ。

2011年6月19日日曜日

MISIA SOUL QUEST @ 鳥取梨花ホール 0618

  ステージを覆う白いスクリーンシートにはSOUL QUEST THE TOUR OF MISIA JAPANの文字。会場の照明が落ちるとスクリーンが紫に染まる。しばらく映画のオープニングみたく重厚なクラシックのストリングスが鳴り響き、カラフルにデジタルアートが映し出されていく。きしむような弦の音が止み、歓声とともにスクリーンがあがっていく。バンドメンバー5人、ダンサー6人を従え、ステージ中央にMISIA登場。照明を反射する銀のスパンコールに身を包んだ近未来ファッションでパワフル、ソウルフル、ダンサブルに新曲を歌いあげる。2009年12月に味わった圧倒的な質量感を持つ音の波の再現だ。
  MC第一声は「とっとりーぃ」。発声はシャープでブレない。AAaaa-!というシャウトが縦に綺麗に天井を突き抜けていくのが見える。2回目の生MISIAでようやくわかった。MISIAの声は金属元素で構成されている。しかもステンレスメタルで、錆も疲弊もブレも歪みもない。ファルセットでさえ、メタリックコーティングだ。

  MISIAのアルバムは何度か手にしたことがあるがCDのMISIAの声は平板に聴こえたことがある。楽譜通りに歌ってもMISIA本来の良さがでず、ライヴのテンションを出しきれない。ところが生のMISIAは凄い。5オクターブのステンレスメタルが趣くままに炸裂し、聴衆を圧倒していく。
  おそらく、声帯はもちろん、喉も、気管も、肺も、横隔膜も全て金属でできている。そうでなければ、高音域をフルボリュームで、ステンレスのままシャウトしきれるわけがない。共鳴に一切の歪みがなく、精度の高いメタルビームの質量感がズンズンと胸を打つ。ファルセットはメタリックゴールドに煌めき、心に絡みつく。
  一年半前は歌わなかった「つつみ込むように…」。ダンスリミックスで、グルーヴィに聴きなれたメロディを歌いあげる。19歳でこの歌を世に送り出す歌唱の完成度と衝撃。後半で、「つつみぃ込む△」とブレスブレイクすると、「ようにぃぃ…!」の高音域ロングトーンは20秒は超えた。沸き上がる会場。ファルセットは奇跡のレアメタルだ。圧倒的な質量のメタルウェーブに全身を委ねるしかない。

 被災地の復興を願う「明日へ」は、終わらない夜はないと希望の明日を歌う。明日へ、明日へ明日へ共に向かって行こうと叫ぶ。このバラードの強いメッセージは聴衆の心を打つ。拍手が鳴りやまない。

  アンコールが華やかだ。MISIAとダンサー(バニラグロテスク)の7名がボヘミアンファッションで、オレンジや黄色のパステルカラーの生地を幾層にも合わせ、ふんわりとしたスカートを激しい踊りでなびかせる。MISIAのダンスもすごい。それでいて、歌唱の質が落ちない。会場も踊り、歌い、シャウトする。「鳥取のみんな I Love You♪」会場が呼応すると、「一階のみんな I Love You♪」 「二階のみんな I Love You♪」 「三階のみんな I Love You♪」と徐々にオクターブがあがり、最高音域の I Love You♪ で会場から驚嘆と賞賛の歓声があがる。ステンレスメタル、レアメタルファルセットの奇跡のフルコースを体感。  

  最後は、ダンサー、バンドメンバーと並んで、MISIAから会場にリクエスト。みんなでMISIAと叫んでください。ミーシャーぁぁ、MISIA、みーしゃあと途切れない歓声を受けながら、メンバーがステージの左右の袖に消えていく。ステージの中央で、礼をして、手を振って応援に応えるMISIA。白いスクリーンシートが降りてくる。SOUL QUEST THE TOUR OF MISIA JAPANの文字にMISIAが隠れてライヴが終わった。
 7/27には10枚目のアルバム「SOUL QUEST」が発売される。必聴です。

2011年6月13日月曜日

中島美嘉 THE ONLY STAR @ 鳥取梨花ホール 0612

 去年の秋は、両側耳管開放症で10周年ツアー中止、この5月は急性声帯炎で神奈川公演を延期。万全な状態ではなく、自身が一番歯がゆい思いで、ステージに立ったのだろう。もしかしたら、やむなく強行したのかもしれない。 
 2曲目が「GLAMOROUS SKY」。どうせなら、ハナから、「こんばんは、ブラストです」とぶっきらぼうにMCしてNANAになりきってほしい。NANAのときに近い短さの髪、赤が基調の派手なステージ、ツインギターのリフ。あこがれの生NANA。映画のオーラそのままだ。客を巻きこむMC、会場全体でWAVE。ロックベースの楽曲のうちは、荒さが誤魔化せるが、バラードが続くとそうもいかない。
 NANAは、レイラの完成度に比べると、未熟な歌い手の設定だが、今回はあまりにもコンディションが悪い。声帯炎の直後では歌にならない。
 「愛してる」に、「STARS」と「WILL」を絡めた初期の名曲メドレーが嬉しい。だが、さびのテンションが持続しない。声量はあるが、声のコントロールが出来ないため、投げっぱなしの歌唱になる。高い音域で声が割れる。裏声以外は、高い音が安定しない。力みが走り、余裕がない。
 限りなく歌い続けてきた「雪の華」でさえ、歌いはじめの低い音がとれない。さびのロングトーンも、仕上がりも荒い。

 1stから3rd、「桜色舞うころ」「GLAMOROUS SKY」あたりまでの中島美嘉はカリスマだった。曲調も歌唱も好きで繰り返し繰り返し聴いていた。
 1stにある「A MIRACLE FOR YOU 」は中島美嘉が誰かを元気づけたいと作詞した。休業前の挨拶で、会場のファンが中島のために歌い、中島を泣かせた曲でもある。 アンコールの最後で、歌いあげた「A MIRACLE FOR YOU」は希望の歌だった。ゆっくり、休めたとき、いつかまた、THE ONLY STAR として中島美嘉の歌唱を聴かせてくれるだろう。