2010年5月1日土曜日

AVATAR/風の谷のナウシカ/エヴァンゲリオン 

 昨年末、公開初日にAVATARを見た。3D目当てだったのだが、ほどなくこの映画がエヴァとナウシカからインスパイアされたものであることに気づく。あまりにあっけらかんとあからさまなパクリなので米国も中国を責められない。岡本真夜が盗作問題で注目を集めたように、日本のアニメが改めて評価される機会となったようにも思う。

 主演のサム・ワーシントンは英国人で次回のボンド候補。最新作「タイタンの戦い」(これも3D)ではAVATARの車椅子では見せられない派手なアクションを披露してくれた。メデューサ、クラーケンとの戦いは手に力が入るくらい迫力があって楽しかった。黒いペガサスは乗り心地よさそう。
 話をAVATARに戻そう。ジェームズ・キャメロン監督はミヤザキへのオマージュをAVATARに込めたとも言っているらしい。自然との共生、環境破壊に怒る動植物、空を翔ける浮揚感、星(谷)全体の共感覚などナウシカのテーマそのもの。天空に浮かぶ巨大な岩やもののけを乗り回す強い女性も、そのまんま宮崎アニメだ。
 そして、車椅子の主人公が惑星パンドラに派遣された理由は双子の兄のアバターとDNAシンクロ率が高いから。碇シンジとエヴァ初号機のシンクロ率(エヴァンゲリオンとその搭乗者のA-10神経接続を行った際の同期率)の初回数値に周囲が驚く設定と酷似する。

 (エヴァンゲリオンの主人公である碇シンジはさえない14歳の少年。ジャンヌダルクは14歳のとき天使ミカエルのお告げを受けフランスを救う。聖なる14歳。エヴァのパイロットたちはみな母がいない。それぞれのエヴァに母の魂が宿り、14歳の子供だけがエヴァを操れる)

 エヴァンゲリオンは汎用人型決戦兵器として創られた人造人間である。アダムが生み出した使徒とエヴァとの戦いが始まる。リリス(悪魔の妻)から生み出されたリリン(人間)が神を越えようと人類補完計画を企て迷走する物語は一時期社会現象となった。

 2007年9月1日の日本経済新聞のコラム「春秋」に綾波レイが登場する。
 綾波レイに思いを寄せる男性は日本中に百万人はいるだろう。冷淡なほど無口で無表情な十四歳の謎の少女。包帯姿で現れた現代の女神は日本アニメの申し子だ。その儚げな存在感の内には、決然とした「迷いのなさ」を秘めている。95年にテレビ放送された『新世紀エヴァンゲリオン』の新作映画が、きょう公開される。・・・綾波レイが最初に「降臨」したとき、日本人はバブル崩壊で自信喪失のどん底にいた。傷だらけになって人造の巨人に乗り込み、無言で毅然と敵と戦い続ける綾波への共感はその時代に根ざす。フィギュアとは、無意識の信仰を形にした現代の偶像だろう。経済は立ち直っても、日本人の心には虚ろが残ったのか。 (抜粋)

 ところが監督の庵野秀明はNHKのファンの集いで社会現象(宗教的解釈等)となった内容に触れ「あ、あれは衒学ですよ」とあっさり思わせぶりであることを認めてしまう。庵野は碇シンジは俺自身だと話したことがある。エヴァに乗る以外取り柄がなく、誰とも打ち解けない主人公。つまり、ATフィールド(心の壁/ヤマアラシの針)で人との関わりを避けた少年時代をモチーフとして、人と人との深い関わりをサードインパクト(人類の融合)というテーマに昇華させた個人的な物語が正体だ。それがすっかり大がかりな展開となって、ハリウッドでの実写版プロジェクト(Project E)が進行しているという。

 写真は、実写版の綾波レイのイメージ。YOUTUBEには「リング」のイライジャ・ウッド主演の予告編まで投稿されている。イライジャは童顔だけど30近くなって14歳はきついな。ハリウッドの日本アニメだよりはまだまだ続きそうです。 (予告編エンドロールのAKI MAEDAって誰?)
http://www.youtube.com/watch?v=75GoCvuB8Ow
http://www.youtube.com/watch?v=jcA9qsf4JDI&feature=related

0 件のコメント: