2010年1月31日日曜日

村治佳織 Guitar Recital 呉市文化ホール 1/31

 冬の雨。初めて訪れた呉はくすんだ街に見えた。れんが通り商店街でタリーズコーヒーのモカオランジュールを飲んで落ち着く。村治佳織を聴くのは二度目。鳥取の梨花ホールでの村治の音はモノトーンに感じた。あのときはスパニッシュとクラシックが中心だったような気がする。
 観客は年配が多い。上原ひろみのときのような音大生や熱心なピアノ親子は見当たらない。日曜のお昼にクラシックギターを楽しむひとたちで会場は満席だ。
 黒いパンツに真っ赤な腰巻ストール(ほとんどスカート)が映える。さっそうと村治佳織登場。華やかなオーラだ。鳥取のときは教科書みたく地味な印象だったのに。奏でる音も違っていた。坂本龍一やクラプトンは以前の彼女にはなかった。新しい流れ(フロー)が彼女のなかで結実し、生ギターの音色が心地よく優しくホールに響く。

PROGRAM

(一部)

■ 戦場のメリークリスマス
■ エナジー・フロー
■ ティアーズ・イン・ヘヴン
■ ウェストサイドストーリー
■ 組曲 ホ短調 Bux WV.236

(二部)

■ ハンガリー幻想曲op.65-1
■ ノクターン op.9-2
■ トライメロイ ~子供の情景
■ 一億の祈り 
■ ギターのための12の歌より
  失われた恋  シークレット・ラヴ  サマータイム
■ ジョンゴ
■ サンバースト

二部では、オレンジとやわらかなピンクを基調とした衣装。アイススケートと選手と同じでこのシーズンはこれで通すと笑いを誘う。広島にはクリスマスのジョイント以来で、同じ衣装だったと。村治の笑顔にモカオランジュールの香気がよみがえる。見事な指使いでクラシックギターが奏でられるなか、ほのかな香りが消えなかった。
 呉はずっと雨だった。真冬の寒さではないが街の人の服はみんな黒っぽい。茶系の煉瓦通りとモカオランジュール。村治佳織のギターは一足早い春の陽射しを運んできてくれたような気がした。