2011年7月5日火曜日

一青窈 Tour 2011 頬づえ ~夕方早く私を尋ねて @ 倉吉未来中心 0703

 一青窈は幼少から日本海を見て育った。小学生のとき父を、そして高校生のとき母を、ともに癌で失くしている。去年の7月にあった鳥取でのローカルな終末医療のイベントに、地元の野の花診療所の医師、徳永進の呼びかけで谷川俊太郎、よしもとばなな、玄侑宋久といった名だたる著名人が集い「死」を語った。そのイベントの当日の朝、参加を思い立った一青窈が当時週刊誌を賑わしていた小林武史とともにやってきてハナミズキを歌い、会場は大歓声に包まれた。
 
自身のオフィシャルサイトでも、私の歌のテーマは「生と死」に向き合ってますと語る一青窈。

   …大切な人が生きているうちに ありがとう  と ごめんね は出し惜しみしちゃだめだと そう思って今に至ります 
  あなたの道の途中に  私の言葉や音楽が在ったのならばそれはすごく幸せです。 あなたにありがとうを言いたくて 私は歌をうたう…

 失って初めて大切なものに気付く、それを何度も繰り返す人生。そんな歌詞を書く一青窈。ファーストの「あこるでぃおん」や「アリガ十々」で、家族への愛と幼いころの思い出を綴る柔らかい曲調が珠玉だ。

 昭和の歌謡曲がずっと好きだという。舞台セットも昭和の風景。上を向いて歩こう(アカペラで)、奥村チヨの終着駅、夜明けのうた、そして中島みゆきの時代を歌う。

 最近の曲って、みんな綺麗に前向きだけど、人間ってそういうもんじゃないよね。最近、読んだ五木寛之の「青年は荒野をめざす」。ジュンのトランペットがスウィングしない、みんなの音とグルーヴしないのは綺麗すぎるから。素の自分が持つ、怒りも不安も嫉妬も屈辱も孤独も何もかもないまぜにして飾らない音楽を表現できたとき、そこからスウィングが生まれる。自分の歌もそうでありたいと。

 歌謡曲を歌う一青窈は、活き活きとしてほんとに楽しそうだ。「終着駅」はドラマを観ているような表現力に圧倒される。そして「夜明けのうた」「時代」と震災の復興の祈りをかさねる。「時代」はまさしく時代を超えた名曲だ。今日は倒れた旅人たちも生まれ変わって歩きだすよ♪胸を撃たれずにはいられない。

 最後の曲は、ハナミズキ。君と好きなひとが百年続きますように。ほとんどのひとが、この曲を聴きに来ている。もらい泣き(泣き寝入りと間違えられたらしい)もよいし、歌謡曲も聴きごたえがあった。ただ、ほかの楽曲との差がありすぎる。歌唱も、個性も、生き方も魅力的な一青窈。すぐれたコンポーザーがすぐ傍にいるのだから、しっかり味方につけて、独自の世界を存分に表現してほしい。

 1千回も 1万回も アリガ十々 アリガトウ♪

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