2010年5月4日火曜日

矢野顕子 @広島クラブクアトロ 0501

欲しいものは たくさんあるの きらめく星くずの指輪
  寄せる波で組み立てた椅子 世界中の花集めつくるオーデコロン ♪

 上記の歌いだしで始まる「ひとつだけ」はYMOや鮎川誠の豪華バックで話題となった1980年秋の傑作アルバム「ごはんができたよ」におさめられている。(矢野はこの年のYMOワールドツアーに同行して活躍)
 誰も真似できないアッコちゃんワールドに溢れたアルバム。「TONG POO」、「げんこつやまのおにぎりさま」、「ごはんができたよ」など矢野の舌たらずな声と予測つかないスキャット、切れ味のよい電子ビート(高橋ユキヒロ)の虜になった。このアルバムを聴いてしばらくは、フォークやロックが色褪せて感じたくらい。feelin' groovyとはこのこと、ともかくノリが心地よい。のりのりグルーヴの海を堪能したあと「ひとつだけ」で柔らかにクールダウン。毎日毎日繰り返し聴いていた。

 矢野は、昨年、広島で聴いた二人のアーティストとも共演している。上原ひろみとは去年オランダと東京のジャズフェスで、そしてTHE BOOMの宮沢とは20年来のつきあいだ。まだ「島唄」がヒットするまえの宮沢の才能を認め「釣りに行こう」をデュエットし自身のアルバム('91)にも収めている。
(94年にはネスレのCMに「二人のハーモニー」で宮沢和史と共演)

 開演時間を過ぎ照明が暗くなり拍手が沸く。明るくなったステージにはアルミ箔のラミネートチューブに巻かれたアッコちゃんが手を広げて立っていた。ほがらかによくしゃべるアッコちゃん。手拍子に挑む客には、ついていけなくなるから能力を超えることしちゃだめよとたしなめる。今回はアルバム音楽堂(カバー中心)の弾き語りツアー。
 翌日は忌野清志郎の一周忌。遺作「恩赦」('93) を弾き語る。・・恩赦 on my mind 恩赦 for me・・清志郎へのオマージュは続く。「きよしちゃん」では、きよしちゃん、いい曲だね、いい歌だね・・・どうしちゃたんだい、きよしちゃん、どうしちゃたんだい、ヘヘイヘイとリフレインして親交の深かった仲間へ献歌する。新アルバムのなかでは、英語の曲「Say It ain't I So」が印象的。30年前の「カラード・ウォーター」に共通する水底の水のうねりを感じるような寒色系の仕上がり。

 アンコールは3曲。冒頭に紹介した人気曲「ひとつだけ」、THE BOOMの名曲「中央線」(宮沢も愛されている)、そして百恵ちゃんの「いい日、旅立ち」。ほとんど原曲のおもかげはなく、アッコちゃんアレンジでイイヒ、イヒ、ウア、ハヘ、イィヒ、イヘなど独特のスキャットが強烈。
  
 おみやげつきライヴでした。綾鷹(お茶)が二本。いま真田とCMで共演してるキャッチコピーは、「お茶がにごる。心がつながる」。ライヴ帰りに重いし二本もいらない。欲しいものは、ひとつだけ。

 欲しいものは ただひとつだけ
  あなたの心の 白い扉 あける鍵 ♪

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